CANDY GARLの続きです。

PRETTY EYES

「うわ〜すご〜い!」

 遊園地、入場してからのマナの第一声、あまりの巨大さに驚いた。

「どれに乗ろうか?」

 二人でパンフレットを広げるとマップの隅から隅までを見ていく、全てまわるのに1週間はかかりそうである。マナは中心から少し左に描いてある乗り物に目をつけた。

「シンジ、これに乗ろう」

 指の位置を見てシンジは冷や汗がでた。

「・・これって」

「そうジェットコ〜スタ〜よ」

「ぼ、僕はちょっと・・・・」

 苦笑いをしながら後ずさりを始めるが、シンジの腕をガシリと掴むと

「さあ、行きましょう」

 そのまま引きずれて行った。

 

 

 ガッタンゴットン

 マナの「前に乗りたい!」と可愛い瞳で見つめられたシンジは、断れるはずも無く、泣く泣くOKした。二人は一番前に乗っている。

(・・・このまま、僕は・・・・・)

「わくわくするね、シンジ」

「えっ?」

 これからの恐怖を前にしてシンジは上の空であった。

「もう聞いてなかったの?」

「ご、ごめ・・・」

 ガッタン!ゴーーーーー!

ぎゃああああああああ

 謝り終える前にジェットコースタは下り始めた。シンジの叫び声はドップラー効果。コースタは高速で右左に一回転を繰り返す。

ぎゃあああああああああ

 そのたびにシンジは目をつぶり恐怖の声を上げた。

きゃあああああああ

 そのたびにマナは両手を上げ歓喜の声を上げた。

 

 

「面白かったね、シンジ」

「・・・・・・」

 マナはぐったりして足元がおぼつかないシンジの手を握ってベンチに向かって歩いた。

「もうだらしないなあ」

「に、苦手なんだ」

「エヴァに乗っているのに」

「感覚が違うんだ」

「ふーん」

 そうしているうちに園内のハンバーガーショップについた。二人は開いている席に座った。

「何がいい?たのんでくるよ」

「シンジは座っていて、まだフラフラしているでしょ」

「うん、ありがとう。じゃあセットAをお願い」

「わかったわ」

 マナはシンジに微笑むとレジに走っていった。

(ふう〜、どうして女の子ってあんなのが好きなんだろう・・・・)

 目をつぶり首を回して疲れを取る。

(ん、たしかここって)

 何かを思い出したようにパンフレットを広げ、そして予想した通り落胆した。

(やっぱり・・・・)

 ここの遊園地は絶叫マシンが売り物で園内の至る所に絶叫マシンが置いてある。

「お待たせ〜」

「あ、ありがと」

「わお、もう次行くところを決めているの」

 マナは席に座ると身を乗り出してパンフレットに見入った。

「いや、まだマナはどこがいいの?」

 おそるおそる聞いてみる。

「そうね〜、フリーフォールもいいし逆バンジーもいいし」

 想像した答え落胆する。

「冗談よ、シンジが選んで良いわよ」

「ホント?」

「ええ」 

 安心したシンジは気分もよくなり楽しいランチを過ごした。

「美味しいね」

「ええ、またシンジとこうして食べられるなんて、思ってもいなかったわ」

「そうだね」

「あの時はもうダメかと思ったわ」

「・・・・・・」

 シンジはジュースを一口飲むとあの事件を思い出した。(鋼鉄のガールフレンド)

「でも良かった、こうして目の前にシンジがいるから」

 マナは微笑むとポテトを食べだす。

「う、うん」

 その笑顔にシンジは照れながら微笑み返した。

「ミサトさんの料理、本当に命の危機を感じたわ」

「え?」

「えって、さっき言ったじゃない、ダメかと思ったって」

 シンジはアッケに取られた。あの時とは『鋼鉄編マナその後の生活スペシャル番組』の事だったのである。

「そ、そうだったね。ミサトさんの料理は本当に危険だから。はははは」

「変なシンジ」

 

 

 食事を終えた二人はシンジの希望であまり怖くない乗り物に乗っていった。だがスリル大好きのマナはあちこちから聞こえる絶叫に体がウズウズしていた。

(う〜、楽しそう乗りたい、でもシンジが怖がるし!)

 その時前方にある建物が目に入った。

「マナ、次はこれに乗ろうよ。マナ?」

「シンジ、あそこに入りましょ」

「え?」

 指をさす方向にあった建物は

「お、お化け屋敷?」

「そう」

 日本名でお化け屋敷であったが最先端の技術を起用したホラーハウス。壁に描かれてあるモンスターだけでもリアルであった。

「は、入るの?」

 声が上ずっている。

「うん、あれえもしかしてシンジ怖いの?」

 サッとシンジの前に立つとにやけた笑いをする。

「こ、怖くなんかないよ」

 男のプライドから怖いとは言えない。

「じゃあ、いこ!」

「う、うん」

 がちがちに体を動かし恐怖の館に入っていった。

(こ、怖くなんかないぞ。たかが作り物じゃないか)

(ふふ、驚いて抱きついちゃお)

 入り口から暗闇になり所々が蒼いライトが照らされ、壁には古びた洋館の内部が描かれていた。

「シンジ」

 マナは怖くは無いのだがシンジの手を握り、少し不安な顔をした。

「だ、大丈夫だよ。僕がついている」

 胸を叩くと笑って見せるがどこたぎこちない。

(逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ)

(うわ〜、最先端の技術を使っているわ)

 二人はいやシンジはおそるおそるユックリとした足取りで歩いた。

 ドキドキ、ドキドキ

 辺りを見まわす。がまだ何も無い。シンジの鼓動は高鳴る。

「大丈夫?マナ」

「ええ」

 さらに奥に歩いていく。

 ドオオオオオオオオオ!!!

 すさまじい音が響き、壁から・・・・

「キャ〜〜シンジ、怖い〜」

 本当は怖くは無いのだが、ここぞとばかりに抱きついた。

(ナイスな演出ね、ここでシンジは抱きしめて「大丈夫だよマナ」とか言ったりして〜)

 胸に顔を隠しにやけていた。

「シンジ、もう大丈夫かな?」

「・・・・・」

「シンジ?」

「・・・・・・」

 返事がない顔を上げて見ると

「・・・はあ〜」

 立ったまま気絶していた。

 

 

「・・・う、う〜ん。あれ?」

 目が覚めて視線の先にはマナの顔。

「やっとお目覚めね」

「ここは?」

「ここは遊園地、そして私の膝よ」

 気絶したシンジは係員によって外に運ばれ、ベンチでマナの膝枕によって休憩していた。

「わ、ごめん」

 後頭部に感触を感じると真っ赤になって、身を起こした。

「ふふ、まだいいのよ」

「い、いいよ。それよりごめん」

「いいわよ。私も悪かったわ、シンジがあんなに怖がりなんて」

 シンジはバツが悪そうに頭をかいた。

「どうも苦手で」

「それがシンジのいいところよ。もう夕方だし後一つに乗って帰りましょう」

「うん、どれに乗ろうか」

 またパンフレットを広げるとマナはすかさず指をさした。

「締めくくりは観覧車よ」

 

 

 

 中央にある巨大な観覧車、園内をそれ以上を見渡す事ができる巨大さである。二人は向き合って座った。ゆっくりとしたスピードで上がっていく。

「シンジ見て、向こうの方まで見えるわ」

「そうだね」

 4分の1の高さで園内はすべて見渡せ、西の空には夕焼けが二人をてらす。

「シンジ、今日は楽しかった。本当にありがとう」

「僕も楽しかったよ」

「え?」 

 そう言うとシンジは席を立ちマナの横に座り、肩に手をまわした。

「イヤかい?」

「ううん、こうしていて」

 マナは肩に寄りかかると外を見つめた。

「見てシンジ夕焼けが綺麗」

「いいや、マナのほうが綺麗だよ」

 シンジはマナの髪に手をやり撫でた。

「ありがとう、私はシンジが好きよ」

「僕もだよマナ」

「シンジ」

「マナ」

 観覧車は回りつづけ頂上に来た時、シンジはマナの頬を触った。

「マナ」

「シンジ」

 マナは顔を上げ目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ナ」

「マナ、降りるよ」

「え?」

 マナは一瞬なんの事だがわからなかった。見まわすと横にいたシンジが向かいに座っている。

「横にいたんじゃなかったの?」

「僕はずっとここに座っていたよ。それよりさっきからずっと、にやけてヨダレ垂らしていたよ」

「はっ!」

 口に手を当ててみると、たしかにヨダレが垂れている。

「ありゃりゃ、フキフキ」

「ずっとにやけているから話しづらくて、もうすぐだよ」

 後もう少しで1周する。マナはがくりと肩を落とした。

(幻だったのか〜、はあ〜・・・・・せっかくのロマンチックが)

 こうして楽しい遊園地は終わった。


 LMS第2弾です。遊園地のSSを描くのはこれが初めてなんですよ。そのうちレイやアスカのも描いてみようかなと思いますが、ストーリが同じになりそう(^^;)

 観覧車にてマナ・・・ドジですね。他様のSSではこんな軽めのSSはLMSとは言わないでしょうがjun16ではこれがLMSです。観覧車でキスとは単純なのでマナの妄想で落しました(こちらが単純かな)

 このSSを考えた時アスカが邪魔をするなど考えましたが、思案の末(それほど思案してない)シンジ、マナにしました。そのほうがいいからね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION PRETTY EYES